出雲市街から車で市役所を越えて、斐伊川沿いを北へ進むこと15分、一畑電鉄川跡駅と島根県立大学 出雲キャンパスの間に「ストリングス・コーヒー・ロースターズ≪以下、「ストリングス」≫)があります。ここから数十秒歩けば、イネが植えられたばかりの田んぼが広がっていて、遠くの山を一望できます。水路には絶えず水が流れていて、ちょろちょろと良い音が聞こえてきます。長閑で気持ちがよいです。

ツドリバROで提供しているコーヒー豆は、ここストリングスの新鮮な豆を使わせていただいていたりと日常的にお世話になっています。店主の飯島 豪(いいじま たけし)さんはギター奏者で、ROの年末年始のカウントダウンパーティーにも「さよならホームゲーム」という3人バンドで出演してくださった凄腕ギター奏者でもあります。

この短い説明のなかで、店名の由来がギターにあるのではいかと勘付かれた方もおられると思いますが、そのとおり飯島さんの愛するギターを含めた「弦楽器=STRINGS」からとったものだそうです。「(コーヒーで)弦楽器(STRINGS)のように生活に少しの彩りを添え、人と人の縁を結ぶ糸(STRINGS)のような存在になる」というのが、このお店の掲げるスローガンで、居心地の良い店内では自然とコミュニケ―ションが弾みます。ただ「あくまでもコーヒー豆の焙煎がメインだからね」と飯島さん。豆を買うまえにコーヒーを片手に雑談しながら決められるというのは、買う側にとって安心できていいなと思いましたし、それが結果としてカフェのようになっているということに納得したのでした。

使われているカップとソーサーがテーブルに並べられていました。島根の民藝品である出西窯のカップが奥にあるのがわかりました。聞くと飯島さんは民藝の文化を引き継ぐ活動に実際に関わっておられるそうで、手洗い場をお借りした際に、著名な版画家である棟方志功の作品が通路に飾られていて驚きました。

店内のディスプレイはこのような感じ。

鮮度には大変にこだわっており、新鮮なものしか出さないことを徹底しているそうです。

店内で飲むコーヒーはその場で挽いてくれて、店内に芳醇な香りが漂っています。そうこうしているうちにコーヒーが出てきました。飲んでみると、クッキリとした濃い苦みが口に広がるもあと味はすっきり、薫り高くおいしいコーヒーでした。ケーキセットを頼むと、シュブスタンスという出雲のパティスリーのケーキが出てきて、これもまた美味でした。

存在感がある焙煎機を調整する店主の飯島さん。この焙煎機はオランダの「GIESEN」というメーカーのもので、日本には数台しかないという代物だそうです。なぜこの焙煎機を導入したのかと聞くと、ひとつは自由度が圧倒的に高いということだそうです。そのぶん扱うことはかなり難しいとのことですが、たとえば熱や圧力を細かく調節でき、オーダーにもこまやかに対応できるのが特徴だそうです。ふたつめは、豆を煎る鉄板の厚さが通常よりも厚く作られていて、一度熱を加えたら消してもしばらく余熱が続くそうです。余熱が続くことで、豆の芯まで熱が通りやすいというメリットがある、と飯島さんは仰っていました。

そして唐突に、最近ギター弾いていますかと質問すると、「愚問はよしたまえ。」と即答する飯島さん。このごろよく弾くギターは、スペインの名工イグナシオ・ロザスが作ったクラシックギターだそうです。そこまで言うならと、そのギターの音色を聴かせてくださいと何度もお願いしているのに毎回、「君にはまだ早い。」だったり、「ネックが太いから云々」とはぐらかされてしまうのでした(笑) そのうち聴かせてもらいたいものです。

stringscoffeeroasters

足をお運びいただき、店主の人柄に触れればファンになること間違いなしでしょう。美味しいコーヒーと雰囲気のいい店内、気さくな店主との会話を存分に味わってみてください!

最後まで読んでいただきありがとうございました。飯島さんお忙しいところありがとうございました!

(2018年5月8日 渡辺カケル)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

STRINGS COFFEE ROASTERS
HP:http://stringscoffee.com/
Facebook:https://www.facebook.com/strings.coffee.roasters/